
窓一面に広がる大村湾のパノラマ。
静かな海を眺めながら、上質なコーヒーを味わう。
川棚町三越郷にある「BUCO cafe(ブーコカフェ)」は、そんな贅沢な時間を日常にしてくれる場所です。
グラフィックデザイナーとしての顔を持ちながら、カフェ運営、さらには本格的なマリンレジャーやジャズライブの企画まで、多才に活動されている、店主の松隈さん。
今回は、福岡の都市部からこの場所を選び、自らの手で新しい文化を耕し続ける松隈さんに、移住のきっかけと、この町で描く未来についてお話を伺いました。
海と「運命の物件」に一目惚れして

――まずは、川棚町に移住を決められた背景を教えてください。
松隈: もともとは福岡で、デザイン事務所のオフィスとボートを置ける場所を同時に探していたんです。そんな時、たまたま目にしたのが「造船所跡地のボート付き物件」というユニークな不動産情報でした。
「ちょっと見に行ってみようか」と軽い気持ちで初めて川棚町を訪れました。
10月の晴れた日、透明な海が本当に綺麗で……。その瞬間に「ここだ」と直感して、その場で契約を決めました(笑)。

――まさに直感だったのですね。移住されてからは、デザイナーの仕事に加えて、好きなことも仕事にされたんですね。
松隈: 本職はデザイナーですが、川棚に来てからは海がぐっと身近になりました。前々から興味があったボートやカヤックが、今ではカフェと並んで仕事の一部になっています。
自分の「好き」をベースに職住一体の暮らしができるのは、この環境ならではの豊かさだと感じています。

「ない」からこそ生まれた、自給自足の音楽イベント

――BUCO cafeでは、定期的に本格的なジャズライブを開催されています。この活動を始められたきっかけは?
松隈: 福岡にいた頃は大濠公園の近くに住んでいて、日常的にジャズライブを楽しめる環境がありました。
移住してきて、夜の静かさに癒されるのと同時に、音楽を楽しめる場所が恋しくもなりました。「だったら、つくるしかないか」と思ったのがはじまりです。
それから「Kawatana Music Live」という町づくり団体を立ち上げ、福岡や東京で活躍する一流のミュージシャンに声をかけました。
――ご自身で「文化の場」を創り出されたのですね。
松隈: はい。せっかくやるなら、最高の「本物」を届けたい。
一流の奏者が奏でる音楽を、この海辺の空間で聴く贅沢を町の人にも届けたいと思ったんです。
その後すぐにコロナの影響でミュージシャンを呼ぶ事が出来なくなったので、福岡のライブハウスと繋いでリアルタイムでライブを配信したりしました。
次の世代へ、本物の体験を届けたい

――ライブには若い人にも来てもらいたいと伺いました。
松隈: ジャズを聞くのはどうしても年配の方が多いのですが、ジャズという音楽は格好いいし面白いんです。
ですから若い世代や子供たちに、プロの技術や熱量に直接触れてほしいという想いがあります。地方にいても「本物」に出会える機会があれば、子供たちの感性や可能性はもっと広がるはず。
もちろん、新しい取り組みを広めるのは試行錯誤の連続ですが、「町の中で本物の音楽に触れられる習慣」を少しずつでも根付かせていきたいですね。
――今後の展望についてお聞かせください。
松隈: もっと多くの人にこの楽しみを知ってもらいたいですね。
行政や地域のコミュニティとも協力しながら、情報発信の仕組みを整えて、川棚町が「面白いことが起きている町」としてより活気づくお手伝いができればと思っています。
あとがき
松隈さんのインタビューを通して感じたのは、「自分たちの楽しみは自分たちで作る」という、開拓者精神のような明るいエネルギーでした。
「ない」と感じるかもしれない余白こそが、実は「自分らしく表現できるキャンバス」になる。
松隈さんが鳴らし始めたジャズの音色は、まさに川棚の新しい文化をつくりはじめています。
BUCO cafeは今、移住者と地域、そして新しい感性を結ぶ大切な『ハブ』になっています。
次はぜひ、皆さんもライブの夜に、あの特別な音色を聴きに訪れてみてください。
取材・文 平野 蒼
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