
こんにちは。さかのまち企画「ヒトタナと暮らし」編集部の平野蒼です。
川棚町で暮らしたい、何かを始めたい──そんな想いのそばに立つ伴走者として。
(一社)さかのまち企画では、移住や小商いの一歩を支える相談窓口を運営しています🏠
『みんなの「やりたい!」を応援するまち』というコンセプトをもとに、思いを持つ誰もが気軽に挑戦できる町を目指して、情報発信やイベント企画などに取り組んでいます。
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今回は私平野が、川棚駅前のチャレンジショップ「まる金商店」で“一日カフェ店長”に挑戦した記録です。
高校時代を過ごしたこの町で、プレイヤーとして一歩踏み出してみた経験を、少しだけのぞいてみませんか?
「まる金商店」とチャレンジショップとは?

突然ですが、みなさんは「チャレンジショップ」という言葉を聞いたことがありますか?
最近では、コワーキングスペースやシェアキッチンなど、空き物件や遊休スペースを活用して、気軽に出店に挑戦できる場所が増えてきています。
チャレンジショップもそのひとつ。お店を開いてみたいけれど、いきなり本格的な開業は不安……そんな人たちの“はじめの一歩”を応援する仕組みです。
実はここ川棚町にも、そんなチャレンジショップが誕生しました!

場所はJR川棚駅から徒歩30秒ほど。以前は地元で人気だった中華料理店の空き店舗をリノベーションしてつくられた「まる金商店」というスペースです。
この施設のオーナーさんは、家具職人の谷山さん。建物の味わいを活かしながら、“誰かのやってみたい”が形になる場をと、町と連携してこの場所を立ち上げられました。
ちょっと、どんな場所なのかのぞいてみましょう。

このチャレンジショップの魅力は、なんといっても「はじめやすさ」。
出店料は1日1組で5,000円、2組での同時出店でも7,500円と、価格設定もとても良心的。初めての出店でも、大きな負担なくトライできるのが特徴です。
また、飲食営業許可が取得されているため、出店者自身で新たに許可を取る必要はありません。冷蔵庫やコンロ、コーヒーミル、製氷機などの調理器具もひと通りそろっていて、「道具がないから…」とあきらめる理由も必要なし。基本的な設備が整っているからこそ、思い立ったらすぐに準備に取りかかれる環境があります。

内装にも注目です。空間全体は、家具職人である谷山さんが自らリノベーションされたもので、木のぬくもりが感じられるテーブルやカウンター、やわらかな照明など、あたたかく落ち着いた雰囲気に包まれています。最大で10~12人ほどが座れる広さがあり、ちょっとしたカフェ営業やワークショップにもぴったり。

さらに奥には個室スペースもあり、施術やサロン、占いなど、飲食に限らずさまざまな業種でのチャレンジが可能です。
2024年からは、さかのまち企画としてもこのチャレンジショップに注目し、小商いや移住支援の相談に来られた方、また町内の「やってみたい」という声に応えるかたちで、希望者への伴走支援を行っています。
「いつかはお店をやってみたい」「自分の作ったもので誰かを喜ばせたい」。そんな声が自然に集まってくるこの場所で、私も今回、一日限定の出店に挑戦することにしたのでした。
準備編

今回のチャレンジを決めた背景には、私自身の心の変化がありました。
さかのまち企画のメンバーとして川棚に関わるようになってから、「暮らしていた場所」だった川棚町が、「町の一員として関われる場所」へと変わっていったんです。
かつては通学路だった商店街や、見慣れていた駅前の風景も、今では“誰かの挑戦の舞台”として見えるようになりました。
実は、佐賀県内ではすでに「あおいほし」という自家焙煎ブレンドを使った1日カフェ店長の経験が何度かありました。
しかし、高校時代を過ごした自分にルーツのある場所で挑戦するのは始めてで、知っている人が多いからこそ、見られているような気がして少し怖かったんです。「失敗したらどう思われるだろう」「同級生に会ったら気まずいかも」…そんな地元ならではの緊張感もありました。
それでもやってみようと思えたのは、自分自身が“挑戦する側”の気持ちを改めて知るためでした。
さかのまち企画では小商い相談や移住支援も行っているので、実際に自分が出店してみることでそのリアルがより伝えられると思ったんです。
まず最初に考えたのは、「どんな空間にしたいか」でした。
目指したのは、地元の人がふらっと立ち寄れて、たまたま居合わせた人同士がつながれるような場所。そして、訪れた人が「自分もなにかやってみたい」と夢を語りたくなるような、小さなきっかけを生む“コミュニティカフェ”でした。

そのコンセプトに沿って、メニューや空間づくりも進めていきました。
メインメニューは、自家焙煎ブレンド「あおいほし」と自家製レアチーズケーキ。
さらに、今回一番こだわったのが「飲み放題プラン」を用意したことでした。
普通なら回転率を意識して滞在時間を短くしたくなるところですが、私はむしろ、ゆっくり過ごしてもらいたかった。
気兼ねなく長居できて、話が自然に生まれるような空気感を大切にしたかったんです。
準備では、食材や備品の手配だけでなく、空間レイアウト、チラシ作成、SNS(InstagramやLINE)でのPRなども一通り実施。準備期間はバタバタでしたが、「想いを込めて形にしていく」プロセスそのものが、とても楽しく感じられました。
では、当日はどうだったのか?
実際にお客さんは来てくれたのか?
次の章では、一日店長として迎えたリアルな本番の様子をお届けします。
当日編

「お客さんが来ても、来なくても。のんびり、自分自身が楽しめればいいよね」
そう思いながら、朝からせっせと準備を整えていました。店内にコーヒーの香りが広がり、カウンターにメニューを並べたら、もう気分はすっかり“店長”モード。
すると、オープンからしばらくして、ガラリとドアが開きました。
入ってきたのは、なんと小学校時代の担任の先生! SNSなどを通じて出店のことを知って、わざわざ訪ねてきてくださったそうです。会うのは数年ぶり。思いがけない再会に、驚きとうれしさが一気に押し寄せました。
近況を話したり、昔のことを振り返ったりするうちに、いつのまにか町の人たちとの輪の中に先生も溶け込んでいて、「やってよかった」としみじみ感じた瞬間でもありました。

その後も少しずつお客様が来店され、最終的には19組26名の方が立ち寄ってくださいました。なかには町の先生や役場職員の方、町外からふらっと立ち寄ってくださった方など、さまざまな顔ぶれ。
提供したメニューの中で特に人気だったのは、手作りのレアチーズケーキとオリジナルブレンドです。

さらにうれしかったのが、用意していた“飲み放題プラン”が想像以上に好評だったこと。
1日に2回立ち寄ってくださった方、数時間ゆったり過ごしてくださった方、アイスからホットに切り替えて話に花を咲かせていた方…。来てくださった方同士の間に自然と会話が生まれ、「川棚にもこんなふうに集まって喋れる場所があったらいいね」といった声も聞かれました。
売上は目標の15,000円を大きく上回る22,200円。材料費や利用料などを差し引いた純利益は12,959円と、数字としても満足のいく結果となりました。
何より来店してくださった人たちが、自然に“やりたいこと”を語ってくれていたこと。
その光景がまさに私が叶えたかったコミュニティカフェを体現していて、何よりの成功だったと感じています。
だから私は、誰かの“最初の一歩”に伴走したい
一日限りの出店とはいえ、商品を用意して、空間をつくって、お客さまに楽しんでもらうという「商い」の原点をまるごと体感できた一日でした。
個人的に一番うれしかったのは、自分の小商いとこの町・川棚との“相性”を肌で感じられたことです。
「この町でやるなら、こんなふうにしたい」「こんな人と一緒にやってみたい」——頭で考えるのではなく自然とイメージが浮かんできた感覚は、実際にやってみたからこそ出会えたものだと思います。
さらに、お店を開いたことで町の人や行政の方々と直接つながる機会にも恵まれました。
支援制度や店舗改装に関する情報をいただいたり、商いの先輩からアドバイスをもらったり…。
一日でこんなにも多くの“夢の話”が飛び交うなんて、あらためて「挑戦って、人を引き寄せる力があるんだな」と感じました。
そして、もうひとつ心に残ったのは、来場者アンケートに書かれていた“やってみたいこと”の数々です。
コーヒー屋さん、メイク講座、テントサウナ、郷土史研究…。川棚には、まだ形になっていないたくさんの想いが静かに眠っていることに気づかされました。
だからこそ、これから「川棚でやってみたい」と声をあげる人たちのそばで、「一緒にやってみようよ」と言える存在でありたいと思っています。
2025年度は、さかのまち企画の一員として、まる金商店でのチャレンジ出店に関するサポートを実施しています。
施設の見学対応や、出店に向けたアイデアの整理、告知のやり方、さらには当日の営業サポートまで。
チャレンジショップという場所があっても、「何から始めたらいいか分からない」「そもそも自分にできるのかな」という方に、“伴走者がいる安心感”の中で、一歩を踏み出せる環境をつくっていきたいと思っています。
おわりに│あなたの夢、川棚町で叶えてみませんか?
まる金商店は、決して特別な人だけが立てる場所ではありません。
「ちょっとやってみたい」「もしできるなら」——そんな小さな気持ちを持っている人なら、誰でも立っていい場所。ここは、川棚町が進めている“だれかの「やりたい!」を応援するまち”というコンセプトを、まさに体現できる入り口のひとつだと私は思っています。
この記事を読んで、「いつかやってみたい」を「今やってみる」に変えてみたくなった方がいたら、ぜひ川棚で一緒にその一歩を踏み出してみませんか?
ご相談お待ちしています!
文:平野 蒼(さかのまち企画/ライター・コミュニティマネージャー)




